乳がん・前立腺がん

戻る

 1冊の本をご紹介します。世界16ヶ国で出版され、400万部のベストセラー。
それは ・・・

 ≪Your life in your hands≫ 

 著者はジェインA・プラント教授。彼女は医師ではありません。地球科学者です。医師でない彼女がなぜ乳がんの本を執筆したのでしょうか?それは彼女自身が乳がんという病魔に侵されたからに他なりません。彼女の乳がんは手術、卵巣への放射線照射、抗がん剤の投与など積極的な治療を繰り返すも効なく、7ヶ月の間に4回も再発したのです。“超自然的悪魔が何度もよみがえっては襲ってくるホラー映画を見てしまったことがあるでしょう。私の体験はそんな小さなものではなかった。”と彼女は言います。

 カナダ乳がん学会によると、母親や姉妹などに乳がん患者がいたり、初潮が早かったり閉経が遅い女性は乳がんのリスクがそうでない人より高いとされています。しかしそれは乳がんになりやすい女性の集団の特徴を述べているのにすぎません。つまり原因ではないのです。しかも今更言われたところでどうなるものでもありません。

 では乳がんになってしまった今、何度も何度も再発を繰り返すこの悪魔に対して自分は何がこれからできるのでしょうか?彼女は食事もすでに良いと言われているブリストルの食事療法に沿うようにしたのです。それなのに ・・・ 

 そこで彼女は自分の乳がんを科学者として研究し始めました。幸い彼女は地球科学者だったのです。

 ~中国人はあまり乳がんにならない!~

 中国の田舎(啓東地方)では10万人のうちたった11人しか乳がんになりません。前立腺がんはさらに少なく10万人のうちなんとわずか0.5人なのです!。中国全体の乳がん死亡率を見ても1万人にたった1人。西欧諸国における10人中1人に比べてそれは驚くべき数字なのです。中国人と英国人、いったいどこが違うと言うのでしょうか? ・・・ 遺伝子が違う。たしかに。 ・・・ もちろんがんの発生と遺伝子は関係があるようです。しかしすべてを遺伝子のせいと片付けてしまっては先には進めないし、第一それは間違っています。 他に必ず何かあるはず。自分でできる何かが ・・・ 。そしてとうとう彼女は獲物を捕まえたのです。

<≪中国人は乳製品を食べない!≫>

 その時の感覚は、“たくさんのジグソーパズルのピースが、突然頭の中で数秒のうちにすべておさまって、絵の全体がはっきりとしたような感じだった。”と言う。

Your life in your hands

 “ホルモンの中のいくつかは当然ミルクにも含まれている。オキシトシン、プロラクチン、副腎と卵巣のステロイド、Gn-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)、GRF(成長ホルモン放出因子)、インスリン、ソマトスタチン、レラキシン、カルシトニン、ニューロテンシン、プロスタグランジン(多くのホルモンのように一つの器官に由来していると言うより、体のたくさんの部分で作られるホルモン様物質)。それらは皆、授乳中の母親の血液より高濃度に含まれている。また母親の血液より低濃度だが、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン )、TSH(甲状腺刺激ホルモン )、チロキシン、トリヨードチロニン、エリスロポエチン、ボンベシンも含まれている。ミルクには上皮細胞成長因子(EGF)、インスリン様成長因子(IGF-1)、神経成長因子(NGF)などたくさんの成長因子も含まれている。さらに乳幼児の免疫機能の発育や、ある種の細胞の成熟などたくさんの働きをもつ40を超える酵素もまた含まれている。

 それどころか、すべての母乳はそれが人間の物であっても、他の哺乳動物の物であっても、様々な何百という化学成分を乳幼児に届ける媒体なのだ。そしてその成分は動物の種類によっても異なるし、母の違いによっても、乳房ごとにも、親の食べ物によっても、さらに授乳期間中の時間的経過によっても異なるのだ。動物の乳房ごとに異なる成分のミルクが分泌されるのは、子供ごとにそれぞれ飲ませるミルクの栄養的必要性が異なるからであろう。

 要するに、すべての哺乳動物のミルクはそれが人間の物であろうと牛の物であろうと、あるいは他のどんな種類の動物の物であっても、同種の哺乳動物の子供の要求にそれぞれ供給するために、非常に複雑で独特に処方された強力な生化学的溶液なのである。牛乳が悪い食物というわけではない。それは素晴らしい食物だ。・・・ただし子牛にとって。

 ここにこの問題の根源があるのだ。

 私はこの食事を63人の女性に実践してもらっているが、その全員にがんは再発していない。これらの女性の中には骨にまで転移した進行性乳がんを患っていたカナダの友人の70歳になる母親もいる。また初めての赤ちゃんに母乳を与えている時に乳がんと診断されたイギリスの若い女性もいる。しかしこの食事療法を断った女性や「やっている。」とは言っても口先だけの女性が5人いたが、残念ながら皆再発したり亡くなった。

(Jane Plant教授著 Your life in your handsより。訳:鹿山)

 彼女の提唱するプログラムは、7つの食事に関する要因と5つのライフスタイルに関する要因から成り立っています。ご興味のある方は日本語訳も出版されているので参考にして下さい。

 また2008年4月16日、厚生労働省研究班(JPHC Study)の発表によると、約4万3千人のうち、前立腺がんになった329人を調べたところ、乳製品、牛乳、ヨーグルトの摂取量が最も多いグループの前立腺がんリスクは、最も少ないグループのそれぞれ約1.6倍、1.5倍、1.5倍で、摂取量が増えるほど前立腺がんのリスクが高くなるということがわかったそうです。さらに、前立腺がんの進行度別にわけても、同様の結果がみられたそうです。乳製品に含まれる飽和脂肪酸(中でもミリスチン酸やパルミチン酸)の摂取が、テストステロン濃度を上げることで前立腺がんのリスクとなる可能性も推測されています。

 食生活を変えることによって、乳がんや前立腺がんの恐怖から逃れられるのだとしたら、もう躊躇することは何もないと思います。