携帯電話の電磁波

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 現在携帯電話の普及はめざましい勢いです。もはや携帯電話の無い生活なんて考えられない方も多いのではないでしょうか?「携帯」と言えば「携帯電話」を指すのは当り前で、それ以外を考える人はまずいないでしょう。「携帯」という意味が「電話」という意味まで包括してしまったのです。人は技術によって、どこにいても誰とでも連絡がつくと言う素晴らしい環境を手に入れました。しかしそのために支払った代償はあまり知られていません。

 携帯電話の付加機能は年々増え続け、絶えず新しいモデルが市場に投入されています。携帯電話を購入する時、皆さんは何を基準に機種を選択していますか?綺麗な色、カメラの画素数、GPS、インターネット・・・と付加機能にばかり目が行ってしまいます。中には文字の大きさなんて言う方もいらっしゃるでしょう。しかし、最も大切な項目があるのをご存知ですか?そしてそれは最も大切な項目でありながらカタログにはあまり書かれていないのです。

 最も大切でありながら、カタログにあまり書かれていない項目 ・・・ それは“SAR値”です。

 携帯電話が使用している電磁波はマイクロ波の中の極超短波と呼ばれているもので、電子レンジと同じ周波数帯域です。(FOMAは2GHz、電子レンジは2.45GHz)電子レンジがどういう道具か、今更ご説明するまでもありませんが、同じ電磁波を出す道具を直接耳にあてるのですよ。耳のすぐ内側には脳があります。しかもこれから5年、10年、20年と毎日使い続けるのでしょう?どんな健康被害が出るのか心配になりませんか?

 2000年5月11日、英国政府は独立専門家グループが出した「16歳以下は緊急時以外、携帯電話を使うべきでない」という報告書に基づいて、全国の学校に「携帯電話の使用禁止」の通達を出しました。年齢が下がるほど電磁波の影響は受けやすくなります。日本には“キッズケータイ”、“ジュニアケータイ”などという物があります。しかしその“子供用ケータイ”が出す電磁波はけして少ない方ではありません(2010年1月現在)。

 携帯電話の電磁波の強さを現しているのが“SAR値”です。当然少なければ少ないほど人体に対する影響は少なくなります。そこで平成14年6月1日、日本では携帯電話から発せられる電磁波の量は2.0W/Kgの許容値を超えない事と定められました。しかしスウェーデンは0.8W/Kg、ドイツでは0.6W/Kgとより厳しい安全基準を設けています。先に述べた“キッズケータイ”は1.03W/Kg、“安心ジュニアケータイ”は0.9W/Kg(2010年1月現在)。当然スウェーデンやドイツではこれらの機種は販売できません。どこが安心なのでしょう?

 携帯電話の機種選定には、真っ先に“SAR値”を考慮しなければならないのです。ところが“SAR値”が解りやすく記載されているカタログはほとんど見られません。

 そこで、各社における機種ごとの“SAR値”が解るサイトをご紹介します。

docomo https://www.nttdocomo.co.jp/product/sar/
AU http://www.au.kddi.com/seihin/support/sar/
SoftBank http://mb.softbank.jp/mb/smartphone/support/product/sar.html
http://mb.softbank.jp/mb/support/3G/product/sar/
WILLCOM http://www.willcom-inc.com/ja/lineup/spec/voice/index.html

 どうしても携帯電話を使わなければならないのなら、せめて電磁波の影響を最小限にしたいと思いませんか?ではそのためにいくつか良い方法を列記してみましょう。

1.SAR値の少ない機種を選択する。
2.できるだけ使わない ・・・ 特に子供。
3.発信の時、電磁波は強くなります。基地局を探すからです。したがって発信の時は耳から遠ざける。
都市部より山間部や農村部などの方が強くなる場合が多いようです。基地局から遠いことが多いからです。
イヤホンマイクを使用する。耳に接触させないので、脳への影響を軽減できます。
6.受信可能の状態で胸ポケットに入れない。電磁波が心臓に影響するのを防ぐためです。
7.受信可能の状態でズボンのポケットに入れない。電磁波が精子に影響するのを防ぐためです。
8.通話よりメールにする。脳を守るためです。

 人類はいままで技術によって様々な道具を手にしてきました。そして大なり小なり代償を払いながらそれを使ってきたのです。“火”は、使い方を誤ればやけどもするし、火事にもなります。“自動車”も便利な反面、事故も起これば、肥満の原因にもなります。“携帯電話”もその危険性を良く知った上で賢く使うことが必要だと思います。そしてそのための情報はすべて公開されているべきです。

 メーカーも利便性だけを強調せずに、電磁波の危険性を十分説明するとともにSAR値をカタログに載せ、そして何より、もっと安全な機種を開発して欲しいものです。