スポック博士の育児書

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 世界中で販売されている育児書の中でも、とりわけ有名なのがこの「スポック博士の育児書」です。

 現在日本で販売されている“スポック博士の育児書 最新版”は第6版の訳です。ところがアメリカでは第8版がすでに販売されています。その違いの一部を見てみましょう。

 “牛乳には、人間の体に要る、ほとんど全部の成分が、含まれています。つまり、蛋白質、脂肪、糖分、ミネラル、それに、たいていのビタミンが入っています。

 もっとも、よくバランスのとれた食事をしている子なら、牛乳をのまなくても、他のたべものから、こういった大切な栄養素をとることができますが、カルシウムだけは例外です。

 牛乳は、カルシウムをたっぷり含んでいる唯一のたべものなのです。だから、どんな形にせよ、よちよち歩きの子には、一日に450cc~560cc、もっと大きい子には、700cc~950ccの牛乳を与えなければいけないのです。
(スポック博士の育児書 日本語訳最新版<第6版の訳>より)

 “私はみずから1991年より乳製品を含まない食事、低脂肪で肉を含まない食事をしてきた。その時私は88歳であった。

 それまで何年にもわたる抗生物質による治療で治らなかった私の慢性気管支炎が、この食事を初めてから2週間もたたないうちに良くなったのである。

 さらに中高年の友人たち数人も、乳製品、肉、そして他の飽和脂肪酸を多く含む食品を食事から遠ざけることによって、患っていた心臓病の進行が止まったのである。

 これらの成果をだすためには、食事を全粒粉、数多くの野菜や果物に置き換え、そしてより活動的になることが重要である。

 私は、もはや2歳を過ぎてからは乳製品を勧めることはしない。もちろん、牛乳がとても望ましいと考えられていた時代もあった。しかし、臨床経験に基づく調査により医師や栄養士は考え直さざるを得なくなったからである。”
(Dr.Spock's baby and child care 8th edition中、スポック博士自身の体験について直接話したとされる“CLASSIC SPOCK”より。 訳:鹿山)

 スポック博士は1998年に亡くなられたので、この第8版は博士の意思を継いだロバート・ニードルマン博士によるものです。上の文はその中に書かれてある「スポック博士自身の体験について直接話したとされる“CLASSIC SPOCK”」より引用したものを訳しました。

 スポック博士の考え方は経験を通してこのように変化してきました。それが第7版以降には現れております。しかしながら日本語版は第6版までしか発売されておりません。もし、「スポック博士の育児書 日本語版」をお読みになる際は、そのことに十分気をつけて下さい。