牛乳・乳製品

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 みなさんは牛乳を飲みますか?ヨーグルトやアイスクリームを食べますか?

 それではここで牛乳の本質を考えてみましょう。

 まず牛乳は乳牛から搾乳をします。

 当たり前の事ですが、乳が出るという事はその牝牛は妊娠をして出産をしたことになりますね。ではその牝牛は誰のために乳を出しているのでしょうか?当然自分が生んだ可愛い子牛に飲ませるためです。

 子牛がすくすくと元気に育ってくれることを願って牝牛は乳を出しています。だからその乳は自分が生んだ子牛の成長に合わせてコントロールされているのです。

 タンパク質、糖質、脂質はもとよりその子牛の成長に必要な、ありとあらゆる物質を含んだ、言わばカクテルなのです。その中にはホルモンだっていろいろ含んでいます。 そして子牛の成長に合わせてその濃度は変化しているのです。

 哺乳動物は生まれてすぐは、母の乳を飲んで大きくなります。そして大きくなるにつれ、乳以外の食べ物を食べるようになります。そしてある程度大きくなった頃、乳以外の食べ物で十分育っていけるようになった頃、母の乳から離れます。つまり離乳です。
 そしてどの哺乳動物も(人間と人間に飼われている小動物以外)離乳してからは乳を飲まないのです。

 このシステムを完璧に遂行するために自然は驚くべき巧妙な仕掛けを作りました。それをお話ししましょう。

  ミルクは(ここで言うミルクとは哺乳動物全般の乳の事と思って下さい。)特別な栄養素から成り立っています。そう乳糖とカゼインです。あまりにも慣れ親しんでしまっているため、特別とは思わないかもしれませんが…。乳糖とカゼインはミルク以外にはほとんど存在しません。

 まず、乳糖についてです。乳糖はガラクトースとブドウ糖からなる二糖類で、消化するためにはラクターゼという酵素が必要になります。もちろん生まれたばかりの子どもは通常、このラクターゼの活性が高いため、乳糖を消化し吸収することで、元気に育っていきます。しかしその活性も他の食べ物が食べられるようになるにつけ、しだいに低くなります。そうすると乳糖を消化する事ができなくなるため、ミルクを飲むと消化不良を起こし、お腹がゴロゴロしたり、下痢したりするようになります。(大人が牛乳を飲んで下痢するのはこのためです。この状態に「乳糖不耐症」という病名がついていますが、実はこの方が自然なのだと思います。)

 一方タンパク質であるカゼインは、アミノ酸がたくさんつながったものです。カラフルな石を連ねた長い長いネックレスを想像していただければ良いでしょう。カゼインは消化されてそのネックレスが途中途中で切れていき、最終的には一つひとつのアミノ酸になって吸収されます。そして自分の持っている遺伝子情報を基に、自分のタンパク質として再構築されていくのです。

 ところで消化の途中には、アミノ酸が少なくなったとは言え、まだいくつもつながったペプチドという段階があります。カゼインの場合、それはカゾモルフィンと呼ばれています。このカゾモルフィン、実は吸収されると脳にとって、非常に心地のよい物質として作用します。生後まもない子どもは消化力も弱く、腸の機能も未熟なため、ミルクを飲むことでカゾモルフィンを吸収し、心地よく幸せな気持ちになるのです。母と子の愛情の絆を生む瞬間でもあります。そしてそれが切れてくると禁断症状でも出たかのように泣きじゃくります。(火が付いたように泣くと良く言いますね。)これは意思表示の出来ない乳飲み子にとって母に訴える唯一の手段なのです。

 しかし消化力も良くなり、他の食べ物に対する依存度も大きくなる頃、カゾモルフィンの吸収はしだいに薄れていきます。しかも先にお話しした乳糖を分解できなくなるため、ミルクを飲むと心地よいどころか逆にお腹の調子が悪くなるのです。

 そう、離乳の瞬間です。

 自然は生後まもなくはミルクで子を育み、一定の期間が経つと離乳させるという、誠に巧妙な仕組みを作り上げたのです。そしてこれが哺乳動物に与えられた宿命であり、自然の摂理なのです。

 それなのになぜ人は離乳してから後も、ミルクを飲むのですか?しかも今度はヒトの乳ではなく、他の動物…牛の乳を。不自然だと思いませんか?

 自然の摂理に反する物を食べ続けていると、病気になっても不思議ではありません。

 牛乳が大好き、乳製品が大好きならば(やめられない理由は先に書いた通りです)飲んだり食べたりすることも、たまには仕方ないかもしれませんね。健康に悪いけどなかなかやめられない物は他にもありますから…。

 でも、好きでもないのに、ましておなかの調子が悪くなるのに、健康のためと信じ込んで飲んだり食べたりすることは、いかがものでしょう。

 カルシウムが心配ですか?カルシウムは牛乳以外の食品にも含まれています。例えば小魚、小エビ、海藻、小松菜、大豆製品他などです。(食物アレルギーのある方、医師から制限されている方はご注意下さい。)