医食同源

 現代の日本では「食」に関する情報があふれています。それはグルメ情報ばかりではなく、「××には○○が良い」といった類の情報もあります。それはそれで何か根拠がある場合もあるかもしれません。しかし私たちは最も根本的なことを見失ってはいないでしょうか?

 「私たちの身体は今までに食べた物でできている。」

 特に胎児期や乳幼児期ほどこの言葉の重みを感じる時期はありません。一つの受精卵が細胞分裂を繰り返し母の胎内で育っていきます。出産時、子供の脳の重さは約380gです。この380gはすべて母親が食べた物が原料になっているのです。そしてその子が大人になると、その脳は約1350gにもなります。その原料は・・・言うまでもなくその子が食べた物なのです。

 それは脳だけではありません。心臓も、腎臓も、肝臓もすべて今までに食べた物が原料となっているのです。

 私たちの身体は、それこそ数えきれないほどの物質で成り立っています。そしてそれはただ意味もなくあるのではなく、それぞれが重要な役割を持って存在し、生命活動を支えています。ただの物質ではなく生命であること・・・それは奇跡なのです。

 ルドルフ・シェーンハイマーという天才的な生物学者がいました。彼は「私たちの身体を構成しているすべての臓器、すべての組織のありとあらゆる成分は、食べた物の分子とたえず入れ替わっている。」ということを実験によって証明したのです。しばらくぶりで会ってみると、外見上はほとんど変わっていないように見えていても、分子レベルではお変わりありまくりの状態なのです。それはあたかも「方丈記」の中の一文「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず・・・」のように思えてなりません。

 「食べる」ということは、それほど大切なことなのです。

 「26ショック!」をご存じでしょうか?

 沖縄県は長い間男女とも長寿を誇り、1995年には世界長寿宣言がなされました。しかし厚生労働省により発表された平成12年の都道府県別平均寿命において、沖縄県の男性の平均寿命が26位に後退してしまったのです。(女性は依然として1位)

26ショック

 そこで沖縄県の男性の死因別・年齢階級別死亡率の都道府県順位を見てみると、高齢者はベスト5に入っているのが多いのに対して、若い人の間ではワースト5が目立ちます。

26ショック
(いずれも沖縄県福祉保健部健康増進課・沖縄県衛生環境研究所「26ショック!」より抜粋)

 その最も大きな原因は、食習慣の変化であると思います。

 欧米の食べ物や食べ方が浸透してきて、日本古来の食文化はだんだん失われつつあります。

では、何を食べれば良いのでしょうか?  それは ・・・

まごわやさしい